
ファイナンシャルプランニング技能士のスキルは不動産管理士(プロパティマネージャー)に必要か?
こんにちは。株式会社日本Ethics(日本エシックス)代表の松島 健史です。
今回は、「ファイナンシャルプランニング技能士のスキルは不動産管理士(プロパティマネージャー)に必要か?」というテーマでお話しします。
先に結論を書きます。資格の名前そのものが必要なわけではありません。ただ、一級レベルの知識を持った不動産管理士は、不動産オーナー様にとって確実に役に立つと私は考えています。
1. ファイナンシャルプランニング技能士とは
ファイナンシャルプランナー(FP)とは、収支、負債、家族構成、資産状況などの情報をもとに、住居、教育、老後といった将来のライフプランに合わせて、資金計画の立案やアドバイスを行う職業のことです。
日本でFPの能力を認められている国家資格が「ファイナンシャル・プランニング技能士」で、1級から3級まであります。
一方、「CFP」や「AFP」という名前を耳にされたことがある方も多いと思います。こちらは日本FP協会が認定する民間資格で、国家資格の技能士とは別の仕組みです。
2. 一級の試験の仕組み
一級FP技能士になるルートは、2つあります。一つは、学科試験に合格して実技試験を受ける「一級FP一発受験ルート」。もう一つは、CFPの6科目に順に合格して学科試験を免除され、実技試験だけを受ける「CFPルート」です。
一級FP一発ルートの学科試験は、年に3回、1月・5月・9月に行われます。試験科目は次の6科目です。
・ライフプランニングと資金計画
・リスク管理
・金融資産運用
・タックスプランニング
・不動産
・相続・事業承継
一発受験ルートの学科試験を受けるには、2級に合格して1年以上のFP業務の実務経験がある方や、FP業務の実務経験が5年以上ある方など、いくつかの条件があります。受験料は、学科が8,900円、きんざいの実技が28,000円、日本FP協会の実技が20,000円です(2026年10月時点で確認した金額で、改定されることがあります)。
3. 私は一級FP一発ルートで、実技はきんざいで受けました
一級FP一発ルートでは、学科試験は共通で、実技試験をきんざい(金融財政事情研究会)か日本FP協会のどちらで受けるかを選びます。きんざいの実技は面接で、日本FP協会の実技は筆記です。私は実技をきんざいルートで受けました。
CFPルートは、6科目を順に受けられるので、時間をかけて勉強できます。一方、一級FP一発受験ルートは、決まった期間内に6科目すべてを一級レベルまで引き上げなければなりません。どちらも簡単ではありませんが、きついのは一発ルートだと思います。
だからといって、CFPルートが劣るわけでは全くありません。私が言いたいのは、気合が必要という話です。(笑)
先ほど『自分は1級を一発受験、実技はきんざいルート』とお伝えした通りなのですが、一発受験者の間には、どういうわけか『男は黙ってきんざいルート』という謎の風潮が存在します。基本、イキってる奴はきんざいに突撃する傾向があります。私もその一人です。
4. 4ヶ月で合格を目指す理由
一級の試験は年に3回、4ヶ月ごとにあります。学科で一度落ちると、次の試験までに、暗記したルールや金額、数字が変わっている可能性があります。そうなると、もう一度丸暗記し直しです。落ちたときのダメージが大きいので、私は4ヶ月で絶対にとるんだと決めて勉強することをお勧めします。(私が受験した時はそうしました。)
勉強時間は、学科だけの4ヶ月で、平日は1日平均5時間、休日は8〜10時間でした。合計で約800時間です。インターネットでは600時間くらいと書かれていることが多いのですが、それで受かる人は頭がいい人なのだろうと、毎回思います。私はそうではないので、これだけ必要でした。(インターネットの資格試験の勉強時間って本当にあってます?疑問に思っているのは私だけですか?)
それに私は、ギリギリ合格を狙うタイプではありません。ドラクエで言えば、今の村で買える装備を最強にしてから次の町へ行くタイプです。完璧を狙うので、時間が長くなるのかもしれません。
教材は、きんざいが出していた「ターゲット」というテキストです。私が受けたころは、一級を受ける人はほぼ全員これだったと思います。ところが今は販売されていないらしいです。私より後に受験した人がターゲットを知らなくて、ショックを受けました。
結果、学科は200点満点中160点で合格しました。(私の記憶が正しければ、たしか160点ぐらいだったと思います。満点取るつもりで行ってもなかなか取れるものじゃありません。)
5. 学科に合格したら、すぐに実技の勉強へ
学科試験の受験日から合格発表まで、約2ヶ月かかります。実技試験は、そのさらに約2ヶ月後です。合格発表から実技までは、1〜2ヶ月しかありません。学科を受けた日から数えれば、3〜4ヶ月あります。
ですから、学科を受けた時点で「もう受かった」と思って、すぐに実技の勉強を始める必要があります。
学科に合格すれば、実技は3年間受けられます。受験の機会は、数にして8〜9回ほどあるはずです。ただ、学科は絶対にまぐれでは受かりません。学科に受かる実力がある人なら、大きなミスをしない限り、実技は基本的に合格できると思います。
6. きんざいの実技は面接です
私が受けたきんざいの実技は、面接です。面接官は2人で、確か2問あって、1問あたり10〜15分ほどでした。
1問目も2問目も、架空のクライアントが登場します。相続や事業承継の場面で、資産額などの資料を読み解き、「この人の資産状況はこうだから、この特例が使えそうだ」「不動産はこのタイミングで売った方がいい」「これは物納した方がいい」と、取れる方法を答えていきます。実務的な知識が問われる面接でした。
私のは、不動産オーナーの相続と事業承継の問題でした。出題の途中で被相続人(財産を遺す方)が亡くなっており、準確定申告をする必要がありました。準確定申告とは、亡くなった方のその年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が行う申告のことで、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内に行います(国税庁)。
私はこの要件と申告の仕方を、うろ覚えでした。一番焦った瞬間です。ここで、面接官の顔つきに気づきました。答えを教えてくれるわけではありませんが、「それ以上、変なことを言わない方がいいよ」という雰囲気を、顔と目で出してくれたのです。私はそれを感じ取り、「一度持ち帰ります」と言って逃げました。
面接官も、おそらく落とそうとしているわけではないのだと思います。知らないことを無理に答えるより、持ち帰る方がいい場面もある。面接で学んだことです。(いい加減なこと言うと落ちるらしいです。ただわからなくて持ち帰りまくっても落ちるみたいです。)
合格を知ったときは、面接は落ちたかもしれないと思っていたので、嬉しかったです。なお、面接の点数は発表されるのかどうか覚えていません。
7. 本題:FPの知識は、不動産管理士に必要か
では、このスキルは不動産管理士に必要なのでしょうか。
FPの試験の科目には、不動産があります。さらに、相続、土地の評価、税制といった、幅広い知識が必要です。賃貸経営は、この全部につながっています。
私は前職で、高齢のオーナー様から相続のご相談を受けることがよくありました。もちろん、税金のアドバイスは税理士さんにしかできません。そこで私は、「税理士さんに、こういうことを質問してみてはどうでしょうか」「こういうふうに進めるよう、お願いしてみてはどうでしょうか」とお伝えしていました。よろしければ私が同席して、税理士さんとお話ししますよ、というサポートもしていました。
何を聞けばいいのか、どの順番で進めればいいのかが分かっていれば、オーナー様は専門家に相談しやすくなります。この橋渡しこそが、一級レベルの知識を持つ不動産管理士の役割だと思います。
だから、私の答えはこうです。資格の名前は必須ではありません。ただ、一級レベルの知識を持った不動産管理士は、オーナー様にとって、とても有用です。
8. 資格は、取ったあとが本番です
最後に、CFPについて一言書きます。CFPは、取ったあとも定期的に勉強しなければならない仕組みなので、最新の知識に更新しやすいという、すばらしい点があります。
一方で、一級FP技能士は、取ったあとに勉強をやめてしまうと、本当に何も知らないペーパーFP状態になってしまいます。法改正もあり、税制も変わります。勉強を続けることが大切です。
もう一つ。資格を取ったから偉いわけではありませんし、合格の保証もありません。自分で勉強しない限り、受かりません。それでも、この記事を読んで「受けてみたい」と思っていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。
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