「管理業務主任者」を解説|賃貸管理にも活きる分譲マンションの知識と、ダブル受験をすすめる理由の画像

「管理業務主任者」を解説|賃貸管理にも活きる分譲マンションの知識と、ダブル受験をすすめる理由

official

松島 健史

筆者 松島 健史

こんにちは。株式会社日本Ethics(日本エシックス)代表の松島 健史です。

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士と続けてきた資格のお話も、今回で3本目になります。今回のテーマは「管理業務主任者」です。

「賃貸管理の会社なのに、なぜ分譲マンションの資格?」と思われた方もいるかもしれません。実はこの資格で学ぶ知識には、賃貸住宅の管理にそのまま活きるものがたくさんあります。今回は資格の概要に加えて、私の受験体験と、賃貸管理の現場で実際に役立った場面をお話しします。

1. 管理業務主任者とは:分譲マンション管理会社に欠かせない国家資格

管理業務主任者は、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」にもとづいて、2001年に誕生した国家資格です。

分譲マンションには、区分所有者の皆さんで構成される「管理組合」があります。その管理組合から管理業務を受託するのがマンション管理会社です。管理会社は、事務所ごとに管理組合30組合につき1人以上、専任の管理業務主任者を置かなければなりません。いわゆる「必置資格」です。

そして、次の業務は管理業務主任者でなければ行うことができません。

・  管理受託契約を結ぶ前の重要事項説明と、重要事項説明書への記名(72条)

・  契約成立時に交付する書面への記名(73条)

・  管理組合への管理事務の報告(77条)

これまでのブログの内容と合わせて整理すると、宅建士は「取引」、賃貸不動産経営管理士は「賃貸住宅の管理」、管理業務主任者は「分譲マンションの管理」を担う資格です。賃貸不動産経営管理士が賃貸住宅管理業法の「業務管理者」の要件になっているのと同じように、管理業務主任者はマンション管理業の要になる資格、というイメージを持っていただければ分かりやすいと思います。

2. 試験の実態を数字で見る

令和7年度の試験は2025年12月7日に行われ、2026年1月16日に合格発表がありました。

・  申込者数:17,410人

・  受験者数:14,435人

・  合格者数:2,832人

・  合格率:19.6%

合格基準点は50問中36問でした。宅建士とほぼ同じ合格率ですから、「分譲マンションの資格だし、宅建より楽だろう」とは思わないほうがいいです。

また、試験範囲はマンション管理士試験と重なる部分が多く、管理業務主任者に合格すると、マンション管理士試験で5問が免除されます(逆も同じです)。この「範囲が重なっている」という点が、ダブル受験をおすすめする理由となっています。

3. なぜ資格をたくさん取るのか

そもそも、なぜ私がいくつも資格を持っているのか、という話を少しさせてください。

前職では、宅建を持っていない社員に毎年受験してもらうのが恒例行事になっていました。私は立場上、みんなに「宅建取れよ」と言う側です。ところが、人に言うだけ言って自分は何もしていなかったら、部下から陰で何を言われるか分かりません。(おそらく悪口を言ってくるでしょう。私にはわかるのです。)そこで、自分も毎年何かしら不動産関係の資格を受けることにしていました。私がいろいろな資格を持っているのは、正直に言うと、それだけの理由です。資格の勉強よりも、実務の勉強を一生懸命やったほうがいいですよ。(笑)ただ、資格の勉強で得た知識にも、意味のないものはひとつもありません。

勉強の進め方は、以前のブログでお話しした宅建士や賃貸不動産経営管理士のときと変わりません。資格の難易度に合わせて必要な勉強時間を決め、試験日までの日数から逆算してスケジュールを組み、あとはそれを淡々とこなすだけです。

結果は合格でした。ただし、得点は合格点のちょうど1点上。私が今まで受けた資格試験の中で、一番ぎりぎりの合格です。

実は受験前、先輩から「管理業務主任者とマンション管理士は範囲が被っているから、ダブル受験したほうがいいぞ」とアドバイスをもらっていました。それなのに私はビビってしまい、管理業務主任者を先に受けて、5問免除を獲得したのちマンション管理士を受験しました。

翌年、マンション管理士の勉強を始めてから気づきました。「この知識があれば、去年落としたあの問題は簡単に解けたじゃないか」。そう思う問題が、1問や2問ではなかったのです。(私は、試験当日には使っているテキストの内容をほぼ覚えている状態で挑みますので、出版社にクレームを入れようかと思ったくらいです。)

これから管理業務主任者の受験を考えている方には、騙されたと思ってマンション管理士とのダブル受験をおすすめします。両方の範囲を行き来しながら学ぶことで理解が深まり、結果的にどちらの試験も楽になるはずです。

4. 分譲マンションの知識が、賃貸管理で活きる場面

ここからは、岡山で賃貸経営をされているオーナー様に向けたお話です。管理業務主任者の試験では、たとえば次のような知識を学びます。

・  建物・設備の維持保全:給排水設備、防水、外壁などの劣化と修繕、長期修繕計画の考え方

・  区分所有法・マンション標準管理規約:管理組合の運営、管理費・修繕積立金のルール

・  民法などの法律知識:契約、修繕の責任、損害賠償など

建物の維持保全の知識は、一棟アパートや一棟マンションの修繕提案にそのまま使えます。「今どこを直すべきか、どこは後回しにできるか」を建物の状態から説明できるかどうかで、オーナー様の出費は大きく変わります。

また、区分マンションを貸しているオーナー様にとっては、管理組合の総会資料や議事録、修繕積立金の推移を読み解く力が欠かせません。積立金が足りず、ある日突然、値上げや一時金の徴収が決まる、というのは決して珍しい話ではないからです。

そして、法律の知識が実際に役立った例を一つご紹介します。

床下の水漏れ、負担するのは誰か

以前、管理している賃貸マンションで、床下から水漏れが発生したことがありました。オーナー様からは「入居者の使い方が悪いんだから、入居者に負担してもらってほしい」と、かなり強い口調でご相談をいただきました(お気持ちは本当によく分かります)。

ところが調べてみると、原因は床下の配管の経年劣化でした。床下の配管は、入居者様が日常的に目で見て点検できる場所ではありません。入居者様の使い方に落ち度(善管注意義務違反)があったわけでもありませんでした。

民法606条1項では、賃貸人(オーナー様)は、賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負うと定められています。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要になった場合は、この限りではありません。つまり、入居者様の使い方に原因があれば入居者様のご負担、経年劣化が原因であればオーナー様のご負担、というのが法律上の整理です。

このとき頭にあったのが、管理業務主任者の勉強で身につけた考え方でした。分譲マンションで漏水が起きたとき、原因が共用部分の配管(縦管など)なのか、各住戸の専有部分の配管(枝管など)なのかによって、管理組合と区分所有者のどちらが責任を負うかが変わります。だからまず「どこが原因か」を特定し、そのうえで「誰が負担するか」を判断する。感情ではなく原因箇所から考える、という順番です。

オーナー様にもこの順番でご説明したところ、「なるほど、それなら入居者さんのせいにはできないね」とご納得いただき、オーナー様のご負担でスムーズに修理を終えることができました。

5. プロパティマネージャーに「関係ない知識」はない

賃貸住宅の管理会社の人間が、分譲マンションの資格の勉強をする必要はあるのか。私は「ある」と考えています。

プロパティマネージャーの仕事は、入居者募集やクレーム対応だけではありません。建物、設備、法律、税金、お金の流れまで、不動産にかかわるあらゆる知識が求められます。オーナー様からのご相談は、こちらの得意分野を選んではくれないからです。

もちろん、これまでのブログでもお伝えしてきたとおり、資格はあくまで最低条件です。大事なのは、その知識をオーナー様の利益を守るためにどう使うか。先ほどの水漏れの件も、知識があったからこそ、感情論ではなく筋道を立ててご説明することができました。

管理会社を選ぶときは、担当者がどんな資格を持っているかに加えて、「困ったときに、根拠を示して説明してくれるか」をぜひ見ていただきたいと思います。

日本Ethicsは、これからも強い責任感と確固たる信念を持って、岡山のオーナー様の大切な資産を守り続けます。今の管理に少しでも不安を感じている方は、お気軽にご相談ください。

▶ [無料相談・ご来社予約のお問い合わせフォームはこちら] //www.j-ethics.jp

▶ お電話でのお問い合わせ:086-237-1060(定休日:無 受付時間:10:00〜18:00)

株式会社日本Ethics 代表取締役 松島 健史

”official”おすすめ記事

  • 「賃貸不動産経営管理士」とは?宅建士との違いから、資格の意義・合格までの道のりを解説の画像

    「賃貸不動産経営管理士」とは?宅建士との違いから、資格の意義・合格までの道のりを解説

    official

  • 不動産業の基本資格「宅地建物取引士」とは? 概要から合格までの勉強法まで分かりやすく解説します!!の画像

    不動産業の基本資格「宅地建物取引士」とは? 概要から合格までの勉強法まで分かりやすく解説します!!

    official

  • 良い管理会社とはの画像

    良い管理会社とは

    official

  • 代表挨拶の画像

    代表挨拶

    official

  • 会社設立のご挨拶の画像

    会社設立のご挨拶

    official

もっと見る