
競売不動産取扱主任者は賃貸管理に役立つ?占有者対応と滞納者対応の共通点
こんにちは。株式会社日本Ethics(日本エシックス)代表の松島 健史です。
今回は、私が持っている資格の中でも少し毛色の違う「競売不動産取扱主任者」についてお話しします。
宅建士や賃貸不動産経営管理士に比べると、名前を初めて聞いたという方のほうが多いかもしれません。ただ、この資格で学ぶ内容は、賃貸管理の現場で起きる「滞納しても出ていってくれない入居者への対応」と、近いものがあります。
資格の紹介に加えて、岡山で賃貸不動産を経営されている大家さんが、管理会社を選ぶときのヒントになる話も書いていきます。
1. 競売不動産取扱主任者とは
競売とは、住宅ローンなどの返済が滞った不動産が、裁判所の手続きを通じて売却される制度です。その競売物件を入札し、落札し、引渡しを受けるまでの流れについて、一定の知識があることを示す資格が競売不動産取扱主任者です。
一般社団法人不動産競売流通協会(FKR)が認定している民間資格で、国家資格ではありません。登録には宅建試験の合格が必要とされているため、宅建士にプラスして取る資格という位置づけになります。(試験の詳細や最新の要件は、協会の公式サイトでご確認ください。)
競売物件は市場価格より安く買えることがある一方、落札前に室内を見られない、中に前の所有者や賃借人が住んでいることがあるなど、普通の売買にはない難しさがあります。通常の売買の知識だけでは対応しきれない場面が出てくるため、専門の知識が求められるのです。
入札する人が物件の情報を得る手がかりは、裁判所が公開している資料です。現況調査報告書、評価書、物件明細書の3つ(いわゆる三点セット)を読み解いて、その物件に買うだけの価値があるのか、どんなリスクが隠れていそうかを自分で判断しなければなりません。不動産のプロであっても、この資料の読み方を知らないと判断を誤ります。
流れとしては、入札、開札、売却許可決定、代金の納付と進み、代金を納付した時点で所有者になります。ところが、ここで終わりではありません。所有者になったあとに、物件を実際に使える状態にするための手続きが待っています。この部分が、競売の実務の核心だと私は思っています。
2. 資格を取得したきっかけ
前職では、宅地建物取引士や賃貸不動産経営管理士といった資格の取得を後押しする文化があり、当時役職者だった私は、毎年のように「宅建を取れ」「賃管士を取れ」と言う立場でした。
そうなると、言っている本人が何も受けないわけにはいきません。(部下に陰で何か言われる可能性がありますので、というより絶対に言ってくるはずです。間違いありません!)そこで毎年何かしら不動産関係の資格を受けていたのですが、毎回受験していくうちに、受けられる国家資格がだんだん少なくなってきました。(完全に自慢ですが、私は資格試験に落ちたことは一回もありません。合格率は100%です。これを部下の前で大マウンティングで言っていたので、受験しなかったり落ちたりしたときはやつらは必ず襲い掛かってくると思います。)
そんなとき、もともと興味のあった競売の資格があることを思い出し、受験することにしました。
3. 勉強時間と難易度
勉強時間は、初学者で100~150時間が目安と言われています。私の感覚でも、150時間あれば十分です。他の資格だと「勉強時間○○時間」と言われてても本当か?と思うことが多々あるのですが、この資格はそこまで必要ないと思います。
使った教材は、決められたテキストと過去問です。しかも過去問は3年分ほどしかありません。やったことは、そのテキストと過去問を、ひたすら繰り返すだけでした。難易度は、言い方が悪いかもしれませんが、高くはありません。丸暗記していけば対応できる水準だと思います。
実際、私が受けた回では、過去問とほぼ同じ問題が出ました。試験が終わったあと、絶対に満点だったと思ったので、試験官に「合格点は発表されますか」と聞いて帰ったくらいです。答えは「発表されません」でした(笑)。(出題傾向は変わる可能性がありますので、過去問を中心にしつつも、最新の情報は公式サイトでご確認ください。落ちても自己責任でお願いします。)
4. 学んでみて気づいたこと
試験自体は取り組みやすくても、学ぶ内容は実務にしっかり役立ちます。入札はこういう仕組みで行うのか、このルールは民法のこういう考え方が土台になっているのか、実務ではこう進めていくのか。今まで知らなかったことが次々に出てきて、素直に面白い資格でした。
そして勉強を終えて強く感じたのは、競売の知識は、競売物件を買うときだけのものではないということです。それが、次にお話しする占有者への対応です。
5. 占有者への対応と、悪質な滞納者への対応は近い
競売物件の難しさのひとつが、占有者の存在です。落札したからといって、すぐに自由に使えるとは限りません。中に人が住んでいることがあるからです。その方に退去してもらったうえで、収益物件として運用するのか、売却するのか。そこまで見据えて動くのが競売の実務で、総合的な実務スキルが求められます。(さらにリフォームや建物の設備などの知識があるとさらに色々できます。)
代金を納付して所有者になっても、占有者が自分から出ていってくれるとは限りません。話し合いで解決できない場合には、裁判所に引渡命令を申し立てるなど、法的な手続きを検討することになります。つまり、競売の実務には「どの順番で、どの手続きを、どんな言葉づかいで進めるか」という判断が常につきまといます。
これは、賃貸管理の現場で悪質な滞納者に向き合うときの考え方と、とても近いと感じています。もちろん、全く同じではありませんが、それでも、共通する大事なことが二つあります。
一つ目は、当たり前ですが、やり方を間違えると法に触れるということです。たとえば、家賃を滞納されているからといって、勝手に鍵を交換したり、室内の荷物を運び出したりすることは許されません。(自力救済(じりききゅうさい)ってやつですね。)相手に落ち度があっても、法律で認められた手続きを踏む必要があります。近道をしようとすると、かえって大家さんや管理会社の責任が問われかねません。
二つ目は、相手も人間だということです。落札した側が、いきなり「買ったのだから出ていってください」と詰め寄れば、言われたほうは当然いい気持ちがしません。感情的にこじれると、話し合いで解決できたはずのことが長引き、時間も費用もかかってしまいます。権利があることと、それを高圧的に振りかざしてよいことは別の話です。
法律上やってはいけないことを理解したうえで、相手の事情にも耳を傾け、お互いが納得できる着地点を探す。これは競売でも滞納対応でも変わらないと、競売の実務を学んで改めて感じました。
6. 岡山で管理会社を探している大家さんへ
賃貸管理は、家賃の集金や入居者対応といった日常の業務だけでは成り立ちません。いざ滞納や退去のトラブルが起きたときに、法律を踏まえて冷静に、そして誠実に動けるかどうかで、不動産管理の質は大きく変わります。
岡山で賃貸管理を任せる管理会社を探している大家さんは、滞納が起きたときにどの段階で何をするのかを説明してくれるか、法的な手続きが必要になる場合の考え方を分かりやすく話してくれるか、入居者に対しても誠実に向き合っているか、といった点を、ぜひ確認してみてください。
競売不動産取扱主任者は、取り組みやすい試験でありながら、賃貸管理にも活きる実務的な視点を学べる資格でした。岡山の不動産管理会社として、法律を守りながら、人にも誠実に向き合う管理を、これからも続けてまいります。賃貸管理や滞納対応でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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