
「マンション管理士」賃貸オーナーも区分所有オーナーも知っておきたい、管理組合の知識
こんにちは。株式会社日本Ethics(日本エシックス)代表の松島 健史です。
2026年11月29日(日)、令和8年度のマンション管理士試験が行われます。本番まで2か月を切りました。今回は、試験を目前に控えた受験生の皆さんへの応援も込めて、「マンション管理士」についてお話しします。
受験しない方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。賃貸アパートや一棟マンションをお持ちの方にとっても、分譲マンションの一室を所有している区分所有オーナーの方にとっても、この資格の知識は決して他人事ではないからです。
1. マンション管理士とは
国土交通省の説明によると、マンション管理士は、専門的知識をもって、管理組合の運営や建物構造上の技術的な問題など、マンションの管理に関して、管理組合の管理者や区分所有者の相談に応じ、助言や指導などの援助を行う国家資格です。なるには、試験に合格したうえで、マンション管理士として登録する必要があります。
「マンション管理士」という名称は資格を持つ人だけが使えますが、この資格がないとできない独占業務はありません。宅建士のように、持っていないと契約の場で手を出せない仕事があるわけではないのです。その分、知識そのものの深さと、相談相手としての信頼が問われる資格だと私は感じています。
似た名前の資格に管理業務主任者があります。TACの解説では、マンション管理士は管理組合の相談に乗って助言する立場、管理業務主任者は管理会社の側で管理委託契約の重要事項説明などを担う立場とされています。同じマンション管理でも、見ている側が違うわけです。
2. 試験の数字を見てみる
試験は年に1回で、受験資格に年齢・学歴・実務経験の制限はありません。令和8年度の試験時間は午後1時から3時まで、受験手数料は9,400円です。出題は令和8年4月1日に施行されている法令が基準で、合格発表は令和9年1月8日(金)の予定です。2026年4月には区分所有法の改正も施行されていますので、受験生の方は改正点の確認を忘れないでください。
試験は、次の4分野から出題されます。
・マンションの管理に関する法令及び実務(区分所有法、民法、標準管理規約など)
・管理組合の運営の円滑化(総会や理事会の運営、苦情対応、会計など)
・マンションの建物及び附属施設の構造及び設備(長期修繕計画、大規模修繕など)
・マンションの管理の適正化の推進に関する法律
合格率と合格点は、TACの資料では次のとおりです。
・2021年度(令和3年度):合格率9.9%、合格点38点
・2022年度(令和4年度):合格率11.5%、合格点40点
・2023年度(令和5年度):合格率10.1%、合格点36点
・2024年度(令和6年度):合格率12.7%、合格点37点
・2025年度(令和7年度):合格率11.0%、合格点42点
合格率は、おおむね8〜12%の範囲で推移しています。宅建士が15〜17%、管理業務主任者が21〜23%ですから、不動産系の資格のなかでは難しい部類に入ります。2025年度の合格点42点は、例年の36点前後と比べてかなり高い数字でした。
3. 私がマンション管理士を取った理由と勉強法
私は独学で合格しました。勉強時間は600時間ぐらいです。TACの資料では、必要な勉強時間の目安は400〜500時間とされていますので、私は少し多めにかけた計算になります。(ギリギリ合格だったので本当にみんな400〜500時間で取れているのか怪しいと思っています。)
取ろうと思ったきっかけは、会社の先輩が1年前に合格して、とても喜んでいるのを見たことでした。マンション管理士は、いわゆる不動産の資格の中でも合格率や準備期間の面で難しいほうです。それを取って得意げな先輩を見て、「これは分からせちゃらにゃおえんな。」
と思ったのがきっかけです(笑)。そして、それなら今年のうちに自分も取って、「は?持ってますけど何か?は?」と言ってやろうと決めました。
勉強法は、ほかの資格と同じです。試験日までの日数から逆算して計画を立て、決めた時間を毎日こなします。ここで大事にしたのは、暗記で済ませないことでした。テキストと問題集を一通り解ける状態にしたうえで、「なぜこうなるのか」という理由のところまで理解するように勉強しました。そこまでやって、合否がぎりぎりのところにいる感覚でした。この試験は、それくらい手強いということです。(過去問とか100%満点取れるぐらいの感じで行ったので、落ちたら、テキストの出版社にクレームを入れてやろうと思っていました。)
また、私は管理業務主任者の試験に、合格点のわずか1点上で合格しています。違う先輩からは、マンション管理士とのダブル受験を勧められていました。ところが私は臆病風に吹かれて、管理業務主任者、マンション管理士の順に、1年またぎで受けました。
今になって思うのは、ダブル受験にしておけばよかったということです。マンション管理士の勉強を始めてから、管理業務主任者の試験で落とした問題の多くが、簡単に答えられるものだったと気づきました。(逆もそうです。)どちらかに合格すると、もう一方の試験でマンション管理適正化法の問題5問が免除されます。両方の知識が互いを助けますので、これから受ける方には、騙されたと思ってダブル受験をお勧めします。
4. 賃貸オーナーにも、区分所有オーナーにも役立つ知識
アパートや一棟マンションを持っているオーナー様には、区分所有法や民法の知識、長期修繕計画や大規模修繕の考え方が武器になります。修繕の見積もりを見たとき、今やるべき工事なのか、仕様は妥当なのかを自分で判断する力になるからです。私は、分譲マンション管理で学ぶ知識は、賃貸住宅の管理にもそのまま活きると考えています。
区分所有オーナー様は、管理組合のメンバーでもあります。総会の議案、理事会の運営、管理規約、修繕積立金の使い道。これらはすべて、ご自身の資産価値に直結します。管理会社に任せきりにせず、議案書に目を通して、おかしいと思う点は質問する。マンション管理士は、そうしたときに頼れる相談相手になる資格です。
さらに、築年数の問題があります。全日本不動産協会のコラムによると、国土交通省の推計では、築40年以上の分譲マンションは2024年末時点で約148万戸あり、10年後には約2倍、20年後には約3.3倍に増える見込みです。古くなったマンションの修繕や建替えをどうするかは、これから多くの管理組合が向き合う課題になります。岡山にも築年数を重ねた分譲マンションはありますので、決して遠い話ではありません。
5. 受験生の皆さんへ
試験まで、あとわずかです。この時期は、手応えと不安が行ったり来たりしますが、これまで積み上げてきた時間は裏切りません。新しい教材に手を広げるより、手持ちのテキストと問題集を、理由まで説明できるレベルまで仕上げることを優先してください。そして当日は、体調を崩さないことが何より大切です。
もしも、結果が思わしくなかったとしても、気持ちが落ち着くのを待たず、自己採点をしたら、すぐに来年の学習に取りかかってください。悔しい気持ちが新しいうちに机に向かった人が、合格にいちばん近いと私は思います。皆さんの合格を、心から応援しています。
よくある質問
Q. マンション管理士は独学でも合格できますか?
A. 可能です。私は独学で合格しました。ただし範囲が広く、勉強時間は400〜500時間が目安といわれていますので、早めに計画を立てることをお勧めします。
Q. 管理業務主任者とのダブル受験はお勧めですか?
A. 私はお勧めします。互いの試験で答えられる問題が増えますし、マンション管理適正化法の問題は片方の合格で5問免除されます。
管理組合や修繕のこと、賃貸経営の悩みをお持ちの方は、ぜひ一度、当社にご相談ください。
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